2010811 ランダム
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第24話 使徒襲来

第24話 使徒襲来

「分かったか!オノレがなんで怒られてるのかが!!」

吠える少年に向かってシンジは静かに答えた。

「分からないよ。」

「なんやと!オノレがヘボな操縦するからワシの妹が怪我したんやないか!味方が暴れてどないすんねん!!もっと足下見て戦えっちゅうんじゃ!!」

「無理だね。」

「・・!!!」

シンジの返事に激高したトウジは、有無を言わさずシンジに殴りかかった。
トウジの拳は、棒立ちになっているシンジの顔面にクリーンヒットした!

「があぁぁぁ!!!!」

しかし、うめき声を上げて、蹲ったのは殴った方のトウジであった。
右手を握りしめながら、地べたを転がるトウジを見て、ケンスケはシンジを問いつめた。

「いったい、トウジに何をしたんだ?」

「別になにも。」

憮然として答えるシンジ。
シンジとしては、争いを避けるため、一発殴らせておいて話し合いに持ち込もうと思っていた。

とは言っても、理不尽な拳をまともに喰らって痛い思いをするのは馬鹿らしいので、当たる瞬間にヒットポイントをずらして勢いを殺していた。
鍛えていない拳で下手に人を殴ると、手の方が怪我をすることもある。
完全に相手を舐めきって、繰り出したトウジの拳は、勢いを殺され、不自然な角度でシンジの顔を捉えたため、自らの勢いで手首を傷めてしまったのである。
トウジ自身は、まるでコンクリートの壁を殴ったかのような感触に驚くと共に、自分が無謀な戦いを挑んだ事を悟り、恐怖に身動きが取れなくなっていた。

あれだけ威勢の良いことを言っておきながら、こんな軟弱な様を晒すトウジを見て、シンジは呆れてものも言えなかった。

「よくこれで、人の戦い方がヘボだのどうだのって、文句を言えるなあ。」

思わず呟いたシンジにケンスケが猛然とくってかかる。

「俺達は普通の学生なんだ!軍の訓練を受けているお前とは違うんだよ!!」

「普通じゃない相手なら、有無を言わせずに殴りかかって良いの?」

「そうじゃないけど!碇は特別じゃないか!あんなロボットに乗って怪物と戦えて!
小さい頃から、そのための訓練を受けてきたんじゃないのか!」

シンジは、ケンスケのこの言葉を聞いて、ため息をつきながら答えた。

「そんな話が実際に有るわけ無いじゃないか。マンガかアニメの観過ぎじゃないの?
僕はこの間、怪物が現れた日に初めてこの街に来たんだよ。
あのロボットに乗ったのだって、たまたま、そこに居合わせただけで成り行きだったんだから。
それに訓練って言ってもシューティングゲームみたいなのをしただけだよ。
なんか凄い勘違いしてるんじゃない?」

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「じゃあ、初めて見たロボットに乗って戦ったのか!?」

「そうだよ。」

「く~!!!羨ましい!!俺もいっぺんで良いからロボットを操縦してみたいよ!」

「羨ましい?乗った瞬間に、何も出来ずに殺されるかも知れないのに?」

「そんなことないさ!きっと上手く操縦してみせるよ!」

「そう言う問題じゃなくて・・・、」

そんなケンスケになにか言おうとしたシンジをレイが呼び止めた。

「碇君、非常召集。」

「!! 分かった!洞木さん、僕たち早退するから先生に伝えておいて。」

そう言い残し、シンジはレイを連れて、ネルフ本部へ向かった。

続く


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